TMC見学者感想(医療関係者向け)

TMC見学して

名前牧 庸彦(まき やすひこ)
所属国立病院機構東京医療センター初期研修医2年
訪問期間令和4年12月19日 ~令和5年1月10日
ヒューストンを訪問した理由・動機私は幼少期に白血病になり家族全員で苦しみながら闘病生活を過ごしました。その経験から小児の病気は疾患を治すだけではなく、兄弟姉妹や両親の負担のケアも同じぐらい大切であると心の底から感じています。しかし、残念ながら日本ではまだ兄弟姉妹を含めた家族のケアまで行えている病院は無いような印象を受けます。そのため、世界で最大規模の小児総合病院であるテキサス小児病院ではどのような取り組みが行われているのかを知ることが、将来のキャリアにおいて重要な知見になると考え希望しました。
滞在中に学んだこと今回、沢山のことを経験し学んだが、特に自分なりに大きかったことを3つ記載する。
まず、最も印象的であったことはアメリカと日本の医療に対する捉え方が正反対であり、療養環境に関してはアメリカの体制を日本に持ち帰るのは不可能であるということである。
アメリカにおいて医療は完全にビジネスとして捉えられており、逆に日本では医療は公共物として根付いているため、医療にかけられる資金力が圧倒的に違う。そのため、日本ではアメリカほど療養環境にお金がかけられないのが現実である。この事実に初めは絶望感を感じたが、現在は逆に公共物としての日本なりの療養環境を作ればよいと感じられている。
そう思えたのも、今回お会いさせていただいた先生方が幾度の苦難を乗り越えて現在最前線で活躍されている姿を拝見し、信じ続けて努力すれば不可能はないと思えたからだ。
また、上記の内容とは別に日本とアメリカのIT格差も感じた。特にEpicのカルテは日本の医師が望みながらも諦めている世界が実現していた。他院の患者情報を得られ、どこからでもカルテにアクセスでき、Zoomの画像共有でカルテを見ながらカンファレンスを行うなど挙げればキリがない。現在、日本で実装できない理由はわからないが、IT技術は時間的、空間的、金銭的制約を大きく乗り越える可能性があると知り、日本なりの療養環境を作る上でIT技術を使うというのは1つの突破口であるように感じた。
最後に述べたいのは医師としてBe niceな人間であることの大切さです。今回お会いさせていただいた先生方が積極的に周りの方と良いコミュニケーションをとり、チームメンバーや患者さんから大変信頼され愛されている姿を見させてもらいました。知識に貪欲という姿勢も大切ですが、チーム医療の現代において常に謙虚で様々な方々と協力しカバーし合うことはどのような立場になっても一番大事と実感しました。
ヒューストン生活の感想元々、渡米するまではヒューストンは非常に治安が悪い田舎町というイメージを抱いていたため、実際に来てみるとその真逆で驚きました。過去、様々な国に観光に行きましたが、他の場所に比べヒューストンでは一度も危なさを感じたことはありませんでした。また、ヒューストンは法人税がかからないため多くの企業が移転してきているらしく、ここ最近の発展が目覚ましく勢いがあると聞きました。
医療も非常に栄えており、MD Anderson、Methodist、Texas Children’s Hospital、St.Lukes、Memorial Hermannなど世界的に有名な病院が密集し、それぞれの病院で活躍している日本人の先生方がいらっしゃるためそれぞれの特徴を学ぶことができ大変勉強になりました。
アメリカンフットボール、NBA、MLBの全てのチームがあるのもヒューストンが活気があるポイントの1つと聞きました。
また、食事に関してはBBQが有名でブリスケットは非常に美味しかったです。そのほかにもアメリカ食はもちろんのこと、海に面していることもあり新鮮な海鮮が食べられますし、日本食の売っているスーパーもあるため食べ物にも困りませんでした。
観光もAustin、San Antonio、Galvestonに行きましたが、歴史的な街並みであったり海があったりとどこも全く違う性質で楽しめましたし、隣の州のLake Charlesまで行きカジノも楽しめました。さらに今回初めて海外で運転しましたが、ヒューストンは道路が広く、標識もわかりやすいためすぐに慣れました。ヒューストンは非常に大きく車社会なので車があったほうが断然楽しめると思います。
宿泊先過去に安達先生のもとで実習された学生は皆Airbnbやホテル(マリオットホテルやインターコンチネンタルホテルなど。過去の学生は毎回2人で来ていたため2人で1部屋に泊まっていたため安く済んでいました)に泊まっていたとの話を聞いたので、その辺りを探しましたが、円安と物価高騰の関係で条件がよく評価がそこそこ高い宿はどこも1泊15000円以上し予算オーバーでした。(渡米するまでテキサス州の治安は非常に悪いと思っていたので、安すぎるホテルや評価の低い宿は避けました。)
次に友人の知り合いにベイラー医科大学の人がいると聞いたので、紹介してもらい何か方法はないかと聞きました。すると、マンスリーマンションとルームシェアを教えてもらったため、調べましたがマンスリーマンションは家具を別でレンタルする必要があり結局高額になってしまう、ルームシェアーは良い案件は女性限定などが多く最適なものが見つかりませんでした。
そのため、高額でホテルに泊まるしかないと思い予約していましたが、最後の頼みの綱としてヒューストン日本人会にホームステイさせていただける家庭がないか聞かせていただいたところ、2つの家庭からお誘いの連絡をいただきました。
その中で過去にもホームステイを受け入れていること、家で英語を使う環境があること、小さい子供がいること、牧場も持っていらっしゃる方の家にホームステイをさせて頂いたところ、本当の家族のように大切にしていただき、結果として最高の環境で1ヶ月過ごすことができました。
コメント今回は私のために色々と手配してくださり本当にありがとうございました。
直前までTCHの見学がどうなるか分からず大変不安を抱えていましたが、先生方が助けてくださったお陰で大変充実した1ヶ月を過ごすことができました。
改めまして、この場をお借りして御礼申し上げます。
私がご協力できることがございましたら、是非とも協力させていただきたいので、いつでもお声がけください。