病院見学の感想・大橋祐介医師(聖路加国際病院)(写真右)

TMCを見学して(大橋祐介さん)

名前大橋 祐介
所属聖路加国際病院
訪問期間2023年5月20日〜2023年6月17日
ヒューストンを訪問した理由・動機私は現在、感染症科医師として勤務していますが、今後アメリカでの感染症fellowshipを考慮していた点、また日本では経験する機会が限られている多剤耐性菌感染、固形臓器移植関連感染症、血液悪性腫瘍関連感染症などを学ぶため、今回UTHealth Houstonの関連施設で1ヶ月に渡り見学をさせて頂く機会をいただきました。
滞在中に学んだことUTHealth Houstonの関連施設では、主に ・Memorial Hermann Hospital: MHH ・Lyndon B. Johnson General Hospital :LBJ ・New Thomas Street/Quentin Mease Health Center ・DM Anderson Cancer Center: MDACC で見学させて頂きました。 MHHではtertiary care hospitalで心臓血管外科や固形臓器移植, 外傷治療にも積極的に行っている急性期病院であり, 外傷患者の手術件数は全米でもトップクラスとのことでした。 こちらではgeneral ID teamとsolid organ transplant teamを見学させていだき、multi-drug resistant organism感染や日本ではほとんど診られないようなChagas病の患者さんのフォローアップなど、非常に貴重な経験をすることができました。さらに、見学当時ではメキシコの医療関連施設を契機としたfusariumによる髄膜炎のアウトブレイク関連も話題となっておりました。また、メキシコや南米からの移民が多く、糞線虫症や結核、histoplasmaやcocidiodomycosis疑いの患者さんや、見学した季節柄からかmurine tphusの患者さんなど大変興味深い症例が多かったです。 LBJ では, low medical resourcesで主に保険未加入で、背景に薬剤アドヒアランス・コントロール不良なHIVや糖尿病などがある患者さんに関連した感染症を診る機会が非常に多く、日米の医療システムの違いを含めてまざまざと体感しました。 New Thomas Street/Quentin Mease Health Centerは、昨年度まではdowntownのThomas streetに施設がありましたが、新年度から新しい施設として移動しオープンされたとのことでした。主に安定したHIV感染患者さんのprimary careを学ぶことができました。 MDACCでは、relapsed / refractoryな血液悪性腫瘍患者さんが多く、疾患もバラエティーに富んでいるとともに、 臨床治験参加患者さんも多く見受けられ大変衝撃的でした。特に、難治性深在性真菌症、CAR-T関連感染症、viral infectionに対するvirus cytotoxic T-cell lymphocyte therapy など、日本の市中病院では中々経験できないような複雑な感染症も多く、非常に刺激的な日々でした。
ヒューストン生活の感想私が訪れたのが5-6月でしたが、気候は日本でいう夏に相当するほどで連日昼間は30℃を超える日々で、見学の後半となった6月後半には日中には38℃以上になり外を少しでも歩いただけで自然と汗ばむような状態にまでなっていました。ただ、病院内は空調管理が整っているため、病院内の見学自体には全く差し支えありませんでした。 料理ではTex-MexやTexas BBQなどが名物とのことで、どのお店も非常に美味しく頂けました。また、休日にはSpace Center HoustonやHouston zooを訪れたり、Houston Astrosの観戦をする機会もあり、時期もよく大谷選手の所属するLos Angels Angelsとの試合もあり、大谷選手の活躍も観ることができました。 移動・交通に関してですが、私は主に徒歩やUberを利用して移動しましたが、車の運転に自信のある方であれば現地での車移動することでさらに行動範囲が広がると思います。なお、Metroという電車がTexas Medical Centerを通っておりますが、基本的には治安が悪いため利用は控えた方が良いとのことでした。
宿泊先宿泊先は事前に治安や病院への交通の便、予算などを上司とも考慮し、病院から徒歩圏内であるExtended Stay America(Med. Ctr – NRG Park)というホテルに1ヶ月間滞在しました。Texas Medical Center近くであればMarriotなどもありますが, 予算の都合上からこちらのホテルに滞在することにしました。宿泊する分には可もなく不可もないところですが、やや病院から遠いことと近くにお店などがなかったため、徒歩で病院までの移動が苦痛の方は予算や立地なども考慮した上で宿泊先を検討されると良いかと思います。
コメント松尾先生には渡米前からご相談に乗って頂くと共に、渡米後も細やかなところまで心配り頂くサポート頂きました。また、JMTXの先生方ともお話させて頂く機会を頂き、非常に充実した日々を過ごすことができました。このような貴重な機会を頂けましたことも、松尾先生を始めJMTXの先生方のご支援のおかげであり、この場をお借りして深く御礼申し上げます。