病院見学の感想・齋藤 千颯さん

齋藤 千颯さん (国際医療福祉⼤学医学部6年)

名前齋藤 千颯
所属国際医療福祉⼤学医学部6年
訪問期間2024年2⽉7⽇〜2⽉16⽇
ヒューストンを訪問した理由・動機1つはアメリカの臨床感染症を実際に体験したいという思いからでした。⼤学の海外実習でベトナムに⾏った際に、感染症は実際に現地で⾒ることが最も勉強になると痛感しておりました。そのため、USMLEの勉強をする中で出会った⽇本の国試や臨床では滅多に⾒ない感染症達を、ぜひこの⽬で⾒てみたいと思っていました。国家試験後のタイミングで渡⽶できるよう、普段からお世話になっている⼤学の先⽣にお願いし兒⼦先⽣と繋げていただけたことで今回の病院⾒学が実現しました。
もう⼀つは、⾃⾝のキャリアの参考となるような経験をしたいと考えたからです。将来の留学も視野に⼊れた上で、アメリカで働く⽇本出⾝の先⽣⽅や現地の研修医の姿を⾒ることで、⾃⾝にとっての⽬標やロールモデルを具体化したいと考えました。
滞在中に学んだこと⽇本の病院との⼀番の違いは多様性でした。アメリカという国の歴史的背景からさまざまな⼈種のバックグラウンドがあるのはもちろんのこと、患者さんの経済的背景や加⼊している保険などにより受診できる病院・受けることができる医療が変わることは、国⺠皆保険の⽇本の状況とは対照的だと感じました。そのためか、テレビコマーシャルでは新薬の宣伝が盛んで、主治医に相談するよう製薬会社が呼びかけているのがとても印象的でした。
多様性は⼈だけにとどまらず、感染症⾃体も当てはまるものでした。⾒学させていただいたのが免疫不全・移植感染症の部⾨でしたが、AIDSや移植後においては健常者とは異なる病原体や臨床像で現れうることや、免疫不全の要因ごとに同じ病原体による感染症でも異なる臨床症状を⽰すことは⾮常に興味深かったです。
臨床の場⾯において⽇本にないアメリカの特⾊は、ITの利⽤が盛んであることでした。電⼦カルテのシステム内にチャット機能が存在し、closed network の中でテキストでの情報のやり取りができることは、医療者にとって⾮常に便利で、かつセキュリティ上も安全だと感じました。また、患者さんも⾃⾝のカルテの⼀部を⾃宅から⾒ることができるため、疾患に関する理解が深い患者さんが多く、患者さんが active に治療に関わることができていると思いました。感染症領域においては、PCRを利⽤したパネルによって培養結果が出る前にかなり具体的な病原体まで絞ることができるなど、効率的な診療ができる環境となっていました。
このような合理化された診療環境が整っている⼀⽅で、Vancomycin-resistant Enterococci や Carbapenem resitant Enterobacterales などの耐性菌の割合は⽇本よりもはるかに多く、アメリカでの感染症専⾨家の重要性を実感することとなりました。アメリカでは多剤耐性菌に対する抗菌薬の承認・使⽤が進んでいますが、そうせざるを得ない環境であることを強く実感できました。
ヒューストン生活の感想⽇⽶の価格差を強く感じました。円安の影響もあり、ほとんどの物品が⽇本の3倍ほどだった印象です。⽇本よりも価格差が質に反映されやすく、それがお⾦を稼ぐモチベーションになる⼀⽅で、⽣活のさまざまな場⾯で格差を⽣んでいると感じました。
⾷事は主に周辺のお店からテイクアウトしていました。Smash burger と Chipotle は特にお気に⼊りのファストフード店でした。⾒学終了後の数⽇間は Space center や Zoo, Aquarium などを巡りました。Houston Citypass を利⽤すると割引価格で複数の場所を観光でき、お得でした。
宿泊先病院から南に3マイルほど離れた Hotel Ylem という所に1泊80ドル程度で宿泊していました。徒歩圏内にファストフード店やスーパーマーケットが多数あり、⽇中であれば治安も悪くなかったので、⽣活する上で困ることはありませんでした。ホテル発のシャトルを⼿配してもらえたので、朝はシャトルで、帰りはUberやMetro バスなどを利⽤していました。⽇中であれば⾞内もそれほど危険ではなく、割と時間通りだったので、ヒューストンの Metro はアメリカの他都市の交通網と⽐べると使いやすい印象でした。
コメント兒⼦先⽣、福⽥先⽣、松尾先⽣には滞在中⼤変お世話になりました。短期間ではありましたが、実際に先⽣⽅が活躍されている姿を⾒ることができ、⾃⾝の今後のキャリアイメージや取り組みべき課題を明らかにすることができたと感じています。
今回のご縁を⼤事にし、次に先⽣⽅にお会いできる際は様々な側⾯において成⻑した姿をお⾒せできるようにしたいと思います。
先⽣⽅、この度は誠にありがとうございました。

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