病院見学の感想・霜田 智成さん

霜田 智成さん (筑波大学附属病院 初期臨床研修医)

名前霜田 智成
所属筑波大学附属病院 初期臨床研修医
訪問期間2024年4月29日〜5月3日
ヒューストンを訪問した理由・動機JMTXの奨学金にてのMDAnderson Cancer Centerへの見学
滞在中に学んだことはじめまして。筑波大学附属病院2年目の研修医、霜田智成と申します。この度は日本テキサス医学振興会(JMTX)の奨学金にご採用いただき、MD Anderson Cancer CenterのSurgical Oncology department(腫瘍外科)にて1週間の病院見学の機会をいただきました。私は米国にて研究と臨床を両立した外科医として医療に携わることを志しており、ロールモデルとなる臨床と研究を両立したPhysician-oncologistとして米国で活躍されている生駒成彦先生のもとで研修をさせていただきました。MD Andersonは米国で一番大規模なTexas Medical Centerという病院群の中に位置しております。こちらの領域にはTexas Children’s Hospital, Memorial Herman Hospital, Houston Methodistといった大規模な病院、そしてUT Houston、Baylor Collegeといった名門の医学部、他に理学部が有名な大学も位置しております。その様に多々の優れた施設が集まっているため、臨床、研究を連携して行いやすい状態となっております。共同研究なども大変行いやすい環境となっておりました。MD Anderson Cancer Centerは腫瘍内科・外科を専門とした癌治療の大規模な病院であり、米国で腫瘍治療部門で過去何年間も連続で1位と評価されています。聳え立つような大きな病棟や研究棟がいくつも存在し、それらがSky Bridgeという空中の通路で繋がっており、そこにはシャトルバスのような車も走っていました。手術室は約40室あり、スケジュールがびっしりと埋まっていました。また、行われている診療や研究が、施設の規模に勝るほどの非常に素晴らしいものでした。実習内容は、手術見学、カンファレンスへの参加、研究紹介から構成されていました。生駒先生、そしてリサーチフェローをされている富田先生に大変お世話になりました。月曜日には生駒先生のロボット手術を見学しました。生駒先生は胃と膵臓のロボット手術、及びその領域に関する様々な研究を専門とされています。見学した手術の中で、ロボットによる膵尾部切除が特に印象に残りました。ロボットにより、従来の開腹手術では見ることができなかった視野を拡大しながら精密に手術を行っている様子は、外科志望の私にとって非常に興味深く、大変勉強になりました。今回は残念ながら見学する機会はありませんでしたが、Whipple手術もロボットで行っているとのことでした。火曜日には、Surgical OncologyのTzeng先生による開腹のWhipple手術を3Dゴーグルを用いて見学しました。3Dカメラとモニターを用いて、術野に入らずとも術野にいるかのような3D映像を大画面で見学することができました。その他にもリサーチカンファレンスに参加しました。T32というNIHの資金で行われているリサーチフェローによる年間報告を見学しましたが、基礎研究からAIを用いた大規模な画像解析まで、多岐にわたるクリエイティブな研究の紹介を拝聴しました。研究内容、遂行力、発表の技術がいずれも素晴らしく、大変勉強になりました。水曜日にはSurgical OncologyのTran-Cao先生のロボット肝臓手術を見学し、Tran-Cao先生が行っている臨床研究についてもお話を伺いました。MD Andersonは全米トップということもあり、症例数や研究設備が充実しており、私もこのような施設でphysician-scientistとしてキャリアを形成したいと強く思いました。外来の診療現場も見学しましたが、医師が患者の部屋まで会いに行くというスタイルは日本とは異なっていました。また、驚いたことに遠方(ハワイなど)から治療を受けに来られている方々も多く、Referral Centerとして米国全土から生駒先生の治療を受けに来られていることを目の当たりにしました。米国の臨床現場についてよく言われることですが、私の目から見ても分業化が非常に進んでおり、医師が臨床、教育、研究に集中しやすい環境だと感じました。しかし、指導医としてその環境で診療に携わるためには、レジデンシーから何度も選考を突破していく覚悟、努力、実力が必要だと思いました。生駒先生の研究についてもご紹介いただきました。生駒先生は、①ロボット手術の価値をどのように示すか、②ロボット手術の治療成績をどう改善するかという研究をされています。様々な分野の技術を用いて多くの研究トピックに取り組まれており、どのようにタイムマネジメントをされているのか常に感嘆していました。詳しい内容は生駒先生の論文をご参照いただければと思いますが、全ての研究が異なるトピックでありながら、「ロボット手術で良い治療成績を達成する・そしてその立証」という点に繋がっており、先生の臨床キャリアとも一致しています。そのstrategicで影響力のある研究を行う生駒先生の姿を、私も少しでも見 習いたいと思いました。また、兒子先生のご厚意でHouston Methodistを半日見学させていただきました。兒子先生はAIを用いたビッグデータの解析を行っており、その内容についてもご紹介いただきました。論文を読むだけでは理解が難し
い内容を、大変分かりやすく解説していただき、将来何かに活かせればと思いました。私もデータ解析に従事していますが、兒子先生とのお話を通じて、自分の解析能力や思考回路を改善する必要があると強く感じました。
ヒューストン生活の感想JTMXの先生方とお食事に行く機会を頂きました。福田先生が選んでくださったタイ料理のお店でお食事会をさせて頂きました。ご飯は大変美味しく、福田先生、兒子先生、田中先生、茨木先生方とお会いすることができました。先生方がどのようにキャリアを形成されているか、ご家族と仕事の両立をどうバランスされているかなど、貴重なご意見を伺うことができました。また、松尾先生と富田先生ともお食事をさせて頂く機会があり、様々なお話を伺うことができて、大変有意義な時間を過ごすことができました。皆様、お忙しい中、手厚くおもてなしをして下さり、誠にありがとうございました。
生駒先生にも実習期間中、何度もお食事に連れて行っていただきました。イタリアンやテキサススタイルのブリスケット(日本でも食べたいものです…)など、たくさんのオシャレなお店に連れて行っていただき、多くのお話を伺うことができました。生駒先生のような格好いい素晴らしい医師になるために、これからも一層努力しようと思いました。生駒先生、この度は貴重な機会を頂き、誠にありがとうございました。
宿泊先Texas Children’s Hospitalの真西にあるAirBnbに滞在しました
コメント一週間の間、手厚くおもてなしをして頂き誠にありがとうございました。