病院見学の感想・亀田 隆太先生
名前 | 亀田 隆太 |
所属 | 亀田総合病院 |
訪問期間 | 2025年1月16日〜2054年2月1日 |
背景 | 私が経営に携わっている亀田総合病院では、G&G戦略というものを掲げている。G&G戦略とはGreatest and Glocalの略で、最高の治療を千葉県鴨川の地元住民(local)から日本中・世界中(global)の人々へ提供する、という意味が込められている。壮大な目標ではあるが、我々は本気で実現を目指し、計画を立てて実行している。例えば2009年にはJCI (Joint Commission International)を日本で最初に導入し、つい先日もACGME-International(米国卒後医学教育認定評議会の国際部門)の認証を日本で初めて取得した。我々は医療や教育の質をさらに高め、日本へのメディカルツーリズムの拡大も先陣を切って進めていこうと考えている。その為にはさらに医師の生産性を高め、医療の質も高める診療体制、研究サポート体制、組織運営を追求する必要があると感じており、日本国外の病院の視察を行っている。 |
ヒューストンを訪問した理由・動機 | 小学校の担任の先生が共通であるという稀有な繋がりからMD Anderson Cancer CenterのSurgical Oncologyで活躍されている生駒先生をご紹介頂いた。もともとがんセンターランキングで常に1位を取っている病院では医師はどのように働き、研究はどうサポートされ、病院側はどのようにマネジメントをしているのかを学ぶことを目的とした。また、医療のメッカと呼ばれるテキサスメディカルセンターであれば、その他にも学ぶべきことが多いと期待していた。 |
滞在中に学んだこと | あまりにも多くの事を学んだので書ききれないが、印象的だった点をいくつか挙げようと思う。 MD Andersonで1つ印象的だったのは、お話を伺った先生方が口を揃えて仰っていた働きやすさだ。要因の1つはPhysician Assistant (PA)やNurse Practitioner (NP) を非常によく活用していることだった。我々の病院でもPAやNPは活躍しているが、行っている業務の幅が日本でのイメージをはるかに超えていた。特にアメリカのNPは独立性が高く、医師の監督なしで診療・処方が可能な州が多い。骨髄穿刺や腰椎穿刺も行っていて、独立開業までできる。日本では医師の指示の下で、しかも特定行為の21区分38項目に限定されているので大きな違いがある。MD Andersonでは他院よりも多くPAやNPを雇用しているそうで、医師の生産性が向上するだけでなく、医師が役割に集中することで医療の質も高まり、医師がやめにくく優秀な医師を多く確保できている。 病院の管理体制では日本の病院と比較して医師の生産性やアウトカムの「見える化」がかなり進んでいた。これだけの規模の病院で、医師一人ひとりについて詳細にデータを分析し役割配分や各目標設定まで行うのは大変な労力だが、その負担が上手い形で分担されている。上記のPAやNPの活用と併せて進めることで非常に効果的だと感じた。 その他、Epicという全米シェアNo.1の電子カルテシステムは日本の医療現場が求める理想の形に近いと感じた。以前から評判を聞いていたが、使いやすさと軽さ、柔軟なカスタマイズに他院や患者さんとの情報共有とモバイル機器との接続。様々な点において現在日本で使用されている電子カルテでは太刀打ちできないと感じた。1995年に日本で初めて電子カルテを共同開発・導入した亀田は、亀田医療情報という関連会社で電子カルテ事業に携わっており今回の経験を活かせればと思っている。 |
ヒューストン生活の感想 | 生駒先生からヒューストン日本人会の方々や様々な先生方をご紹介いただき、半月とは思えないほどの充実した生活を送ることができました。どの方もフレンドリーで大変温かく接してくださり、ヒューストンを離れるのが寂しくなってしまいました。また必ず訪れたいと思います。 めったに降らないという雪が降り、病院が平日2日間も休みになったのは驚きました。その際停電やスーパーが閉まって食料難や凍える可能性があると伺い、一瞬生命の危機を感じましたが、生駒先生が手厚くサポートして下さり安心して過ごすことができました。 生駒先生に色々な美味しいレストランへ連れて行って頂き、ヒューストンの食のレベルの高さに驚きました。 |
コメント | 今回きっかけとなった生駒先生には滞在中も多大なるご支援を頂き、言葉では表せないほどの感謝です。本当にありがとうございました。ホームパーティーでご馳走になった先生こだわりのステーキは確実に世界一でした。これが世界一のがんセンターで最先端を走る先生の腕前か、、と感動いたしました。(もちろん手術の腕前もですが。) また、突然のお願いにも関わらず温かく見学を受け入れて下さった佐々木先生、高橋先生、福田先生、兒子先生誠にありがとうございました。先生方おひとりおひとりのお話がすべて大変勉強になりました。またお世話になることもあるかと存じますが、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。 今回の滞在で吸収したことを今後の亀田や日本の医療に活かして参りたいと思います。また皆さんの為に私にできることは何でも協力させて頂く所存ですので、いつでもお声がけください。 みなさま、この度は本当にありがとうございました。 (*亀田では既成概念に囚われずチャレンジしていく事を理念としておりますので、ご関心をお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせください。) |