病院見学の感想・平間智絵
名前 | 平間智絵 |
所属 | 聖路加国際病院初期研修医 |
訪問期間 | 2025年9月13日-9月27日 |
ヒューストンを訪問した理由・動機 | 来春より血液内科での後期研修が控える中、自身のキャリアの方向性を定める上での経験を得たいと考え、この度MD Anderson Cancer Center Leukemiaでの見学に参加致しました。 臨床に加えて、基礎研究の成果を臨床へ応用するTranslational Researchに興味があり、世界最高水準のがん専門病院において、最先端の研究がどのように日々の診療に結びついているのかを実地で学ぶことが本研修の最大の目的でした。 研修先としてMD Anderson Cancer Centerを選んだ理由は、同センターが世界をリードする研究・臨床機関であることに加え、私が所属する聖路加国際病院から多くの先輩方が留学されているという実績があり、また聖路加国際病院の森先生(感染症内科)が企画された、MD Anderson Cancer Center感染症科チームで働かれていらっしゃるAdachi先生のご講演を聖路加病院で拝聴したことが理由です。 |
滞在中に学んだこと | 滞在中の見学は、午前は病棟、午後は外来での臨床見学が基本で、加えてカンファレンスやリサーチミーティング、レジデント・フェロー向けのレクチャーにも参加させてもらいました。 病棟では、医師は指導医とフェローの2名を含む約10名の多職種チームが約20名の患者を受け持つ体制であり、そのチームカンファレンスや回診に陪席しました。外来では毎日異なる専門分野の医師につき、AML、MDS、CML、CLLなど疾患ごとの外来はもちろん、CHIPクリニックやLeukemia geneticsなど、ゲノム医療の進展を反映した最先端の臨床も拝見しました。どの先生方の外来もご自身の研究分野に関する患者さんが多く、外来の合間には臨床だけではなく研究についてもご指導頂きました。 レジデント・フェロー向けのレクチャーはとても教育的でわかりやすかったです。カンファレンスでは約30名のLeukemiaの先生方が議論を交わすお姿を拝見し、知的な熱量に圧倒されました。リサーチミーティングでは、本研修の最大の目的の1つであったTranslational Researchを垣間見ることができました。 Leukemia関連の医学知識の獲得はもちろんですが、Leukemiaの先生方が臨床医として自ら基礎研究で開発した薬剤の第一相試験を主導している現場を見て、基礎と臨床の連携を実見できました。 また、MD Andersonには世界中から見学生が集まります。私が見学していた時期は、ヨルダン、コロンビア、スペインから来ていた方々がいて、同世代の医師とキャリアパスについて意見を交換することもできました。 最後に、そして最大の財産として、同センターで活躍される日本人医師の方々とお会いすることができたことが挙げられます。先生方がどのような考えでMD Andersonでのキャリアを選択し、どのような研究や臨床を実践されているのかを直接伺い、ご厚意で研究室も見学させて頂いたことで、将来について考える最高の機会となりました。 |
ヒューストン生活・宿泊先 | 今回の滞在では、MD Anderson近隣のアパートメントの一室を借りました。治安に不安があったため、多くの患者さんが利用される物件の中から、MD Andersonへのシャトルバスが運行していることを条件に選びました。 車がない中での移動には若干の不便もありましたが、JMTXの先生方から温かいサポートを頂きました。皆様ご多忙にもかかわらず、生活のセットアップから休日の観光や食事まで快くお力添えくださり、先生方のおかげでヒューストンの街の素晴らしさを知ることができました。JMTXを中心とした日本人コミュニティの繋がりの強さは、慣れない環境の中、大変心強いものでした。 ヒューストンで出会う方々は皆親切で、特にMD Andersonには世界中から医師や研究者、患者さんが集うため、多様性に寛容な雰囲気もとても良かったです。広大な土地に広がる豊かな自然と、美しく整備されたメディカルセンターの環境も、滞在を快適なものにしてくれました。テキサスならではの豊かな食文化もヒューストンの魅力の一つだと感じました。 物価の高さは実感しましたが、また必ず再訪したいと強く感じています。 |
コメント | 今回のMDアンダーソンがんセンターでの見学は、多くの方々の温かいお力添えなくしては実現し得ませんでした。この場を借りて、心より感謝申し上げます。 まず、Leukemia部門での見学に際し、ご多忙の中、終始ご丁寧な指導を賜りました佐々木先生、石澤先生、高橋先生、西田先生に厚く御礼申し上げます。 慣れないヒューストンでの生活面では、JMTXの先生方に大変お世話になりました。お食事や観光にお連れくださり、多くの貴重なお話を聞かせていただいた福田先生、八木先生、大橋先生、そして生活の立ち上げを手厚くサポートしてくださった松尾先生、本研修の貴重なご縁を繋いで下さいました聖路加国際病院の森先生に、改めて深く感謝申し上げます。 この2週間で得た学びと経験を糧とし、今後の医師としての歩みに活かしていく所存です。誠にありがとうございました。 |