10/4/2025

私事で恐縮ですが、私は長年クリスチャンとして教会に深く関わってきました。数年前、仕事の都合で遠方に引っ越したため、今は家から教会まで車で約4時間かかります。奉仕があるときは必ず教会に行きますが、それ以外のときはZoomで聖書研究に参加したり、YouTubeで礼拝を視聴したりしています。「どうして近くの教会に行かないの?」とよく聞かれますが、理由はシンプルです。10年以上も同じ教会で奉仕し、家族のように親しい友人もたくさんできました。新しい場所で一から人間関係を築くのは時間も労力もかかります。慣れた環境で、安心できる仲間と信仰生活を続けることが、私にとって大きな心の支えになっています。

教会で見た「考え方の違い」

1年ほど前、教会に新しい牧師先生が着任されました。その先生の素晴らしい働きのおかげで、礼拝参加者や教会員が急増しています。最近、近くの別の教会から多くの方が移ってきていることに気づきました。お話を伺うと、以前の教会では牧師先生の考え方と一部の教会員との間で価値観の違いがあり、居心地の良い環境を求めて移ってこられたとのことです。この出来事をきっかけに、「人と意見が合わないとき、私たちはどう向き合えばいいのか」を改めて考えるようになりました。政治・宗教・仕事など、人の価値観に深く関わるテーマでは、互いの信念がぶつかり、対立が起きやすいものです。

対立を乗り越える3つの方法

あるとき学んだのですが、考え方の違いに直面したときには、主に3つの対処法があります。

1. 自分を変える

2. 相手を変える

3. 環境を変える

今回、別の教会から私たちの教会に来られた方々は、まさに「環境を変える」という選択をされたわけです。職場を変える、引っ越す、学校を転校する、離婚する──これらも同じです。環境を変えることで悩みが解決する場合もありますが、引っ越しや転職など、大きなリスクが伴うこともあります。次に、「自分を変える」という選択肢。意見を強く主張しない、あるいは思っていてもあえて口にしない。これは日本では比較的多い対応かもしれません。ただ、我慢し続けるとストレスが溜まり、心身に悪影響を及ぼすこともあります。最後は「相手を変える」こと。これが最も難しい選択肢です。相手を頭ごなしに否定せず、思慮深く話し合い、場合によっては二人だけで意見交換するなど、関係を大切にしながら慎重に進める必要があります。

医療現場で学んだコミュニケーション

私は医療の現場で働いていますが、ここでも価値観の違いによる衝突がよくあります。特に患者さんの命に関わる場面では、「見て見ぬふり」をすることはできません。教授や上司として指導する立場では、相手を傷つけないよう配慮しつつも、しっかりと伝える勇気が必要です。一方で、自分が医学生や部下の立場にあるときはさらに難しくなります。特にテキサスのように上下関係が明確な文化では、意見を伝えるタイミングや言葉選びが重要です。だからこそ、日頃から信頼関係を築いておくことがとても大切だと実感しています。関係性ができていれば、いざというときに自分の意見を受け入れてもらいやすくなります。

おわりに

日本でもアメリカでも、人間関係は決して簡単ではありません。特に文化や価値観が異なる環境では、誤解や衝突が生じやすいものです。しかし、考え方の違いにどう向き合うかを試行錯誤する過程こそが、私たちの成長につながるのだと思います。人と関わり合い、時に失敗しながら学んでいく。その積み重ねが、豊かな人間関係を築く土台となり、人生をより充実させてくれ、幸せを感じられることにつながるのではないかと感じる今日この頃です。