米国レジデンシー体験談

―自己紹介―

木下智貴(Kinoshita Tomoki)と申します。2024年6月24日からUTHealth Science Center at Houstonで神経内科レジデントとしてトレーニングを開始する予定です。2021年に福井大学を卒業後、初期研修、横須賀海軍病院を経て卒後4年目での渡米となります。渡米までの一連の流れを私の経験からシェアさせて頂きます。

※個人的な経験談なので、情報の間違いや古くなったものも含まれる可能性があります。その都度最新情報の確認をお願いいたします。

―マッチング日程―

2023年9月 ERAS上に書類のアップロード+プログラムアプライ

2023年10月-2024年1月 オンラインインタビュー

2024年2月 ランクリスト提出

2024年3月 マッチ先確定

上記が簡単なマッチシーズンの日程です。2023-2024のシーズンで私の経験したインタビューは全てオンラインで完結しました。セカンドルックも興味のあるプログラムでは機会がなく、米国に伺うことはありませんでした。

―マッチング後―

やったことを項目ごとに時系列に説明します。

  • J-1VISA(米国入国許可証)の獲得

3月11日 マッチ確定。

3月12日 厚生労働省医政局医事課医事係(03-5253-1111)に電話し、政府証明書申請書およびその他必要書類をEmailで送付してもらう。(政府証明書申請書/本人の略歴に関する調書/アメリカ合衆国留学の計画等に関する調書/誓約書/保証書)

3月16日 マッチ先(UTHealth Neurology)判明。

3月27日 UTHealthから雇用契約書がEmailで送られる。

記入した政府証明書申請書およびその他申請書類に加えて、雇用契約書/雇用契約書の日本語訳(個人的な翻訳で可)/ECFMG Certificateの写し/医師免許証の写し/返信用封筒 を同封して速達で、厚生労働省医政局医事課医事係(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)まで郵送する。

4月11日 SoN(Statement of Need:政府証明書)が厚生労働省から郵便で自宅に届く。

4月16日 UTHealthのTPL(Training Program Liaison:人事担当者)に雇用契約書/パスポート(自分+妻)/ CV / Current form I-94(https://i94.cbp.dhs.gov/I94/#/home)/ Evidence of Family Relationship(戸籍謄本+英訳+公証+アポスティーユ)をPDFとしてEmailで送信。

4月17日 OASIS上のJ-1 Applicationを埋めて最後にEVSP fee 370ドルをクレジットカードで決済。

4月19日 厚生労働省からECFMGにEmailで送信されていたSoNがOASIS上で反映される。

4月30日 OASISでJ-1 Applicationが承認される。DS2019(米国滞在許可証)がECFMG→TPLに発送される。

5月7日 DS2019がTPLに到着。申請を進めるために、自分と妻のSEVIS ID(VISA登録のための番号)を教えてもらう。

5月9日 自分と妻のDS160を埋めて提出し、SEVIS fee(210ドル)をクレジットカードで決済。面接を5月14日の午前9時に予約。

5月12日 自宅にTPLからDS2019が届く。

5月14日 東京の米国大使館で面接。午前9時10分と少し遅刻して到着。持ち物は パスポート/DS2019/雇用契約書/大使館面接の予約表/DS160の確認ページを印刷したもの/SEVIS feeの支払い証明のページを印刷したもの/戸籍謄本原本/戸籍謄本の英訳 でした。パスポートのみ没収されます。

5月21日 自宅にJ-1付きのパスポートがレターパックで到着。

注意点

*厚生労働省に提出する書類のサイン以外の箇所はエクセル上のタイピングで大丈夫です。保証書は施設長からのサインが必要になるので、早めに誰にサインをもらうか考えておく。PGYが若い先生だと探すのに苦労する可能性があります。私は幸運にも、知り合いに病院理事長がいたので書いて頂きました。その施設での就労歴は必要ありませんでしたが、受理されました。

*OASIS上でJ-1申請を開始するのに政府証明書は必要ありません。自分がマッチした施設の担当TPLに連絡すれば申請開始できるようになります。自分はTPLへの連絡が遅く、申請が遅くなりました。

*SoNは過去には自分でECFMGに郵送する必要があったようですが、2024年5月時点では厚生労働省がECFMGにEmailで送信してくださりました。特に事前に説明などなくやって頂けたので、必要書類さえ提出すれば手続きは終了です。

*DS2019は通常だと発行から5日くらいで日本に到着します。私は米国内で時間がかかりましたが、極めて珍しいケースだと思います。

*SEVIS Feeの支払いはJ-1ビザの方だけです。J-2の方の支払いは必要ありません。払ってしまうと返金がないので注意しましょう。

*DS160の記入の際に米国パスポートサイズの顔写真のデータをアップロードする必要があります。データをアップロードしてあれば、ビザ面接の当日に写真を持参する必要はありません。

*2024年のビザ取得には実際に大使館に行く必要がありました。2023年末に郵送での手続きは終了したようです。

*東京の大使館は服装規定などなく、バスパン+ちいかわTシャツ+クロックスで問題ありませんでした。

  • NPI(National Provider Identifier)の申請

米国の医療者の識別番号のことです。SSNなしで申請できるので、日本にいる間にやってしまいましょう。

4月11日 記入したNPI without SSNの申請書類/SSNが無い旨の説明書類(自由記載)/パスポートのコピー/戸籍謄本の英訳、をFedExで米国まで郵送(NPI Enumerator, 7125 Ambassador RD STE 100 21244 MD Windsor Mill)

4月30日 NPIから戸籍謄本では受理できないとEmailで連絡あり。日本の運転免許証を英訳したものをPDFとしてEmailに添付して返信。メールの返信直後にNPI番号が発行されました。

注意点

*NPIの申請が戸籍謄本でも可能かどうかは、書類を受理した担当者に依存すると思います。知り合いでは戸籍謄本で大丈夫だった人が大半でした。安全策を取るなら、運転免許証の英訳の方がいいと思います。

  • アパート選び

プログラムの先輩から聞くのが一番信頼度の高い情報です。それに加えてネット上でも情報を集めるといいと思います。Google Mapでの口コミ+Yelpでの口コミ(辛口)+Apartment.comでの口コミを総合して病院周辺の物件を探しました。気になったアパートにEmailしてバーチャルツアーをした後にCrimeMappingとGoogle Earthを照らし合わせて周囲の治安を確認してから契約しました。

5月2日 物件のバーチャルツアー

5月9日 物件の本契約。Application Fee(100ドル程度)を支払って受理されたのちに、妻と自分でそれぞれが契約書にサイン。

6月1日 渡米。

6月3日 アパートの鍵入手。入居時に6月分の家賃+Depositを日本のクレジットカードで支払い。

6月7日 アパートのWi-Fiをセットアップ。AT-Tを契約しましたが、米国のクレジットカードでしか初期費用を払うことができず、米国人の友人に助けてもらいました。

6月8日 アパートにベッドが届く。この日からアパートで寝泊まり開始。3日-8日は、マリオット系ホテルにポイントステイしながら、アパートの掃除や家具の組み立てをしていました。

  • 米国電話番号の取得

マッチ後早い段階から米国電話番号は求められます。日本にいる間にも使えて、渡米後しばらくしたらMNP転出して使えるものを選びました。Hanacellという会社のEsimを使いましたが、特に問題なく快適に使えています。英語も日本語もどちらも対応しているぶん他社と比べて安くはないので、安さを重視する方は他のサービスも調べることをおすすめします。

3月18日 Hanacellを契約。

6月-7月 MNP転出して、AT-Tを契約する方針。(AT-Tのみが医師割引をしているため)

  • 銀行関連の整理

海外転出すると、口座を解約することが基本的なルールになっている日本の銀行が多いです。リスク管理の観点からも、諸々の手続きは確実にしておいた方がいいと思います。

5月28日 ゆうちょ銀行で代理人選定の書類を提出。海外転出の紙はSSNの記入が必要なので、日本の家族に預ける。

5月31日 SONY銀行の海外転出手続きをオンラインで済ませる。SSNを入手したら番号を教える必要あり。

  • 住民票の海外転出

最後に住民票がある地域から海外転出をする。海外転出をした後に戸籍謄本や住民票を入手すると、“海外転出”の記載がある書類が入手可能。銀行の海外転出証明に使えるため、家族に代理で入手してもらう。

5月29日 役所で海外転出の手続き。

注意点

*2024年5月27日より、海外転出者でもマイナンバーカードを保持できるようになりました。マイナンバーカード存続の書類を役所で記入すると、住所欄に“国外転出”と書かれ、そのまま番号を維持できます。2024年5月時点では、マイナンバーカードで国外から確定申告等ができるかははっきりとは決定していないようです。今後の続報に期待です。

  • 確定申告の納税管理人選定

2024年は日本で所得があるので、確定申告の必要があります。渡米時点で納税をする or 納税管理人を選定してその人に確定申告をやってもらう の2通りの選択があります。時間に余裕がなかったので、納税管理人を選定しました。マイナンバーカードの所持ができるようになったことで今後は何か変化があるかもしれません。最新情報を集めることをおすすめします。

5月29日 税務署で納税管理人選定の書類を提出。

  • AmexのGlobal Relationshipで米国カードにアプライ

日本のAmerican Expressのプロパーカード(グリーン・ゴールド・プラチナ)のいずれかを持っていると、日本での信用情報をもとにアメリカのAmerican Expressカードの好きなものを1枚発行できるサービスです。

5月27日 Global RelationshipでUS Amex Goldにアプライ。住所証明書類として、アメリカのアパートの契約書をアップロード。

6月12日 アパートの契約書では不十分との連絡あり。AT-TのWifiの契約書をアップロード。

6月14日 承認の連絡が届く。6月25日までに自宅にカードが到着予定。

注意点

*アパートの契約書では不十分なことに驚きました。家のUtilityの契約書なら大丈夫とのことでした。妻の住所を証明できる書類がなく、Bank Statementが発行されるまで待機が必要な状況です。

  • 荷物の輸送

*すぐに欲しい荷物:飛行機で一緒に持って行く。

*なるべく早く欲しい荷物:クロネコヤマトの国際宅急便で送る。

*遅くてもいいも荷物:郵便局の船便で送る。

上記の選択をとりました。国際輸送はとても手間がかかって大変です。全てパッキングが終わってからでなく、とりあえず荷物1箱を郵便局で船便として送ってみるとHow toがわかるのでおすすめです。

5月15日 郵便局で船便5箱送る

5月17日 郵便局で船便6箱送る

5月28日 クロネコヤマトで国際宅急便を2箱送る

注意点

*船便は、リチウムイオン電池に厳しいです。入念にチェックしましょう。

*クロネコヤマトの米国への国際宅急便は、食料品が一切だめです。ふりかけ等の食べ物は船便に入れるか、スーツケースで持っていきましょう。

*送った荷物には、ランダムで輸入関税がかかります。支払いはCheck/Money Order/Onlineでのクレカ決済等で、現金での支払いはできません。UPSに輸入関税をオンラインで払った後に、荷物の一つがどこかにいってしまい、まだ自宅に届いていません(6月16日時点)。色々と面倒なので、CheckかMoney Orderの紙を入手して自宅に置いておくことをおすすめします。

*ロードバイクなら、飛行機の無料預け入れ荷物として運ぶことができました。渡米直後は移動手段に困りますが、ロードバイクがあれば食料品の調達はなんとかなります。航空会社に確認するとサイズと重さの規定を教えてくれるので、それに収まるようにダンボールにパッキングしましょう。

―渡米後―

  • 銀行口座の開設

6月3日 Chase銀行でJoint Accountの開設。Primaryを妻にして、Secondaryを自分に。諸々の手続きの際に妻が口座管理をできるようにすることと、Bank Statementに妻の名前が載ることで住所証明として使えることを期待してこの選択をしました。持ち物:DS2019/ビザ付パスポート/マイナンバーカード。スムーズに作成できました。クレジットカードはSSNがないと作成できないようです。

6月10日 Chase銀行のデビットカードが自宅に届く。

注意点

*住所証明のためのBank Statementは月末にしか発行されません。

  • 日本の口座から米国口座に送金

数年前からSONY銀行で外貨積立をしていたので、それをChase銀行に送金しようと思っていましたが、ドルの送金は複雑でした。ATMを使っての出金には手数料も高く、結局はWiseを使っての送金に落ち着きそうです。外貨積立したドルは、SONY銀行のデビットカードで使うか、外貨預金としてANAマイルを貯めるのに使おうと思います。

6月12日 Wiseの本人確認。AT-TのWi-Fiの書類をアップロードして承認。

6月13日 日本の銀行から、Wiseの日本円口座にチャージ。そこからChase銀行に送金。同日中にChase銀行で着金確認。

  • EAD(Employment Authorization Document)の申請(J-2の人のみ)

J-2ビザで入国した方はEADがないとSSNを申請できません。妻は将来的にJ-2ビザ+EADで米国レジデントをする予定なので、EADの申請をすぐに行いました。1ヶ月-3ヶ月程度かかるようです。

6月6日 EAD申請必要書類(Form I-765/Form I-94(J-1+J-2)/DS2019のコピー(J-1+J-2)/ パスポートのコピー(J-1+J-2)/ビザのコピー(J-1+J-2)/520ドルのMoney Order/カバーレター/戸籍謄本とその英訳/米国パスポートサイズの顔写真2枚)を郵送。(USCIS P.O. Box 660867 Dallas, TX, 75266)。

6月12日 USCISから書類を受領した旨の書類が自宅に郵送される。

注意点

*EADの申請書類の中にSSN申請の欄も一緒にありました。ここ数年の新しいシステムのようですが、便利そうなので一緒に申請してみました。

*米国パスポートサイズの顔写真はWalgreenという薬局で撮りました。10分程度で完成して簡便でした。

*Money OrderはUSPSで支払うのと手数料が一番安いです。最寄りのUSPSを調べて、Money Orderを窓口で支払いましょう。デビットカードでも支払い可能ですが、SONY銀行のデビットカードではなぜか払えず、結局現金で支払いました。

  • SSN(Social Security Number)の申請(J-1)

ECFMGからは、入国後11日待ってからSSNの申請に行くように言われています。ダメ元で、渡米後6日目の6月7日に突撃してみました。

6月7日 9時ごろにSocial Security Officeに行く。スマホでQRコードを読み込んでチェックインして、40分待つ。10分程度で問題なく手続き完了。2-4週間でカードが手元に届くとのこと。持ち物:パスポート/雇用契約書/DS2019/オンラインの事前申請完了の印刷の紙。

注意点

*Social Security Officeは治安の悪い場所にありました。早めに行って外でまったりすると危険だと思います。Open後は屈強なSecurityが数人いるので比較的安全です。

*事前予約をしなくても滞在時間1時間程度だったので、苦ではなかったです。オンライン申請パートを済ませておくと早いので、事前にやっておきましょう。

*SSNカードが届く前に、番号だけ聞き出せる等の情報がありますが、私はできないと言われました。場所と担当者に依存すると思います。

*6月16日時点では、SSNカードは届いていません。もしかしたらECFMGからの教えを守らなかったことで、カードの到着が遅くなる可能性もあります。自己責任で行動されることをおすすめします。

  • 在留届の提出

日本国外に3ヶ月以上滞在する場合には、在留届を提出す必要があります。申請はオンラインで完結します。家族全員分を一度に申請可能です。

6月1日 在留届を提出。

―今後の予定―

  • テキサス州の自動車免許取得

テキサス州では国際免許の有効期限が入国後3ヶ月です。その間にテキサス州の運転免許を取得しないと、仮免取得からやる必要があります。国際免許の有効期限内であれば、オンライン講習受講or 筆記テストに合格したのち、路上試験をクリアすれば免許取得です。

免許申請の際にはSSNを持っている必要があります。持っていなくても取得できますが、その場合には“SSNを取れない立場で、今後もSSNを取得することはありません”という宣誓書にサインが必要になります。私も妻もSSNは取得予定なので、到着を待ってからテキサス州の運転免許を取得する予定です。

  • 自動車の購入

米国の自動車は中古車でも目が飛び出るくらいに高いです。1万5千ドルで7年前の8万キロ走った車がザラです。自動車の購入にもSSNが必要なので、現在は待ちの状態です。

CarFaxという中古車情報サイトを日々眺めながら、安くていい車はないかと血眼で探しております。譲っていただける方がいらっしゃれば、ご連絡ください。お待ちしております。

注意点

*Away Rotationで車が必要な距離の病院に行く必要がある方は、事前にChiefに年の後半にAway Rotationを入れるようにお願いするといいと思います。私は最初のAway Rotationが11月なので車を吟味する時間が取れそうです。

以上、マッチングから渡米にかけての流れと経験談です。拝読ありがとうございました!

2024年6月16日