21. 日本人がアメリカの医療制度の中で生き残っていく方法 (2/10/2024)

私はクリニックで依存症の患者さんを診ているが、そのクリニックは私のオフィスから20分ほどの場所にある。しかし、時々交通渋滞で45分ほどかかることもあり、事故が発生した場合には最高で1時間半かかったこともある。時間がかかるだけでなく、事故が多発する道でもあるため、私も注意して運転していたのだが、8月のある日、後ろからトラックにぶつけられてしまった。

その時は渋滞だったため、通常であれば道路の脇に車を寄せ、当事者同士が保険などの情報を交換し、警察を呼んで処理を行う。しかし、7車線の真ん中にいたため、なかなか道路の脇に寄ることができなかった。その上、車が少しずつ動いている状況だったので、止まって外に出るのは命の危険があった。そのため、車の動きを止めずに出口を探しているうちに、後ろから来たトラックが車線を変更して逃げてしまった。

携帯電話のカメラで何とかトラックのナンバープレートの写真を撮ろうとしたが、運転中だったため、後ろを振り返るのは危険だった。どうしようかと考えているうちに、そのトラックは視界から消えてしまい、どうすることもできなくなった。私はトラックにぶつけられた衝撃でむち打ちのような症状が出て、頭痛と吐き気を感じ、さらに手がしびれる感覚もあった。

まず病院に行って診察を受けようと考えたが、事故が発生したのはダウンタウンの中心部だったため、近くの病院に行くと再び渋滞に巻き込まれる可能性があった。そこで、自宅近くにある小さな緊急病院のクリニックを思い出し、頑張ってそこまで運転することに決めた。どうにか交通渋滞を抜け出し、クリニックに到着。幸いにも待ち時間がなく、すぐに診察を受けることができた。CTスキャンの結果、脳や首の骨に損傷はないと分かったが、むち打ちの症状のため1週間ほど仕事を休む必要があった。

請求書トラブルと保険のストレス

症状が少しずつ回復し、仕事にも復帰した。最初のうちは運転するのが怖く、慎重に運転していたが、次第に慣れて事故前の日常生活に戻ることができた。しかし、その後しばらくして緊急病院のクリニックから電話があり、「お金を払ってください」と支払いを催促された。

私はもちろん支払うつもりだったので、「早く請求書を送ってください」と頼んだ。窓口の人は「今日中にお送りします」と言ったが、待てど暮らせど請求書は届かない。翌年に支払いを持ち越すと税金申請が複雑になるため、年内に支払いを済ませたかった。そこで何度もクリニックに電話をし、「早く請求書を送ってください」と依頼したが、そのたびに**「今日中にお送りします」と言われるだけで、請求書は一向に届かなかった**。

もう12月中旬を過ぎており、あと数週間しか時間がない。特にクリスマス休暇が近づいていたため、オフィスの休日も考慮し、できるだけ早く支払いを済ませたかったが、クリニックの支払い担当者はのらりくらりと対応をかわし続けた。

その上、健康保険の問題も発生した。私はこの事故は勤務時間内に発生したため、労災として扱われると思い申請したが、却下された。そのため、自分の健康保険を使わなければならなくなった。私は勤務先の健康保険に加入しており、保険会社にこの事故について説明し、負担してもらうよう頼んだ。

すると、約160万円の請求がクリニックから保険会社に届いており、私自身が約57万円を負担しなければならないと言われ、その金額の高さに驚いた。私はユナイテッドヘルスケアという保険会社を利用しているが、3分の1以上を自己負担しなければならないというのだ。

アメリカの医療制度への不満

そんな折、ユナイテッドヘルスケアの最高幹部がニューヨークで26歳の青年に銃で撃たれ殺害される事件が発生した。犯行動機は明らかになっていないが、アメリカの健康保険制度に対する不満が背景にあるのではないかと言われている。その後、SNSでは犯人をヒーロー視する意見が広がり、犯人を支援するクラウドファンディングまで立ち上げられたという。ただ、そのクラウドファンディングのウェブサイトはすぐに削除された。

殺人は決して許されるものではない。
もう一度はっきりと言いたい。殺人は絶対に悪である。
しかし、この事件の一連の報道から国民の健康不安や医療制度への不満が垣間見える。

最近では、「コンシェルジュ医療」と呼ばれる、新しい医療システムが広がりつつあるという。これは、保険会社を介さず、毎月100〜150ドルを直接医師に支払い、優先的に診察を受けるというものだ。医師は保険会社の煩雑な書類作業から解放され、患者も診察までの待ち時間が短縮されるというメリットがある。ただし、高額な治療が必要な場合に備え、通常の健康保険と併用するケースが多いらしい。

日本人がアメリカで生き残るには

最近、「トランプ前大統領が再び当選したのは、国民が変化を求めているからだ」という報道を目にした。特に経済状況への不満が強く、国民は変化を求めているようだ。同様に、アメリカの医療制度にも根強い不信感がある。そのどうしようもない不満を抱えながら生活している人々が多いのではないだろうか。

その中で、私たち外国人である日本人がアメリカで生き残るためにできることは何か?
それは、「自分の健康は自分で守る」ことだ。

適度な運動、健康的な食生活を心がけ、免疫力の高い体を作ることが、現在のアメリカで生き残るための最善策ではないか。医療制度や健康保険に頼るよりも、今できることを一生懸命に実践する。

そうしなければ、我々日本人がアメリカで生き残るのは難しいと感じる今日この頃である。

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