
| 名前 | 宮内 唯衣 |
| 所属 | 慶應義塾大学医学部5年 |
| 訪問期間 | 2026/2/9-2/27 |
| ヒューストンを訪問した理由・動機 | 将来、私はPhysician-scientistとしてがん診療に携わりたいと考えており、アメリカでの臨床及び研究も視野に入れている。そこで、世界トップレベルのがんセンターであるMD Anderson Cancer Center (以下MDACC)において、医療スタッフと患者さんのコミュニケーション、多施設・多職種間の連携、そして、がんという一つの枠にありながらheterogeneityの大きい疾患に対して、医師個人及び施設全体がどのように視点を置き治療にあたっているかを学びたいと考え、見学に応募した。また、実際の現場を見学し、治験の進み方やスピード感、医療チームの体制や働き方を知ることも目的の一つにあった。 |
| 滞在中に学んだこと | 3週間、基本的には、Leukemia Centerにて外来、病棟、カンファレンスを含む日常診療を見学させていただいた。現地で働かれている先生をシャドーイングさせていただき、診療体制を理解することができた。日常診療ではNurse Practitioner, Research Nurse, Dietitian, Pharmacistなど多くの医療従事者が各々の専門知識を持ち寄り、医師をリーダーとして方針決定していた。病態や薬剤相互作用、保険などを考慮し、患者さん及びご家族と相談しながら決定されており、まさにEvidence-Based MedicineをShared Decision Medicineの形で具現化している現場を目の当たりにした。 また、治療方針は、FDA認証済みの標準治療に加え、治験、治験のOff-protocol、MD Anderson レジメンと幅広い選択肢の中から決定されており、標準治療を開拓しているMDACCの臨床現場を見学することができた。世界で誰も正解を知らないOff-protocol利用やPhase Iにおいても、患者さんの今の全身状態、過去の臨床経験、他の治験での患者さんの状態など、複数の世界トップレベルの医師が持つあらゆる情報を統合し、カンファレンスでエビデンスを固めていた。それを元に治療選択、有害事象予防、予後予測、セカンドレジメンの準備まで、計画的に行われていた。新規治療薬の開発には基礎研究、動物実験、治験という構造化したプロセスを踏むことが必要だという印象を持っていた。しかしその裏には臨床に精通した医師による深い考察があることを知り、個々の症例に丁寧に向き合うことの重要性に改めて気づかされた。 生駒先生のご厚意でSurgical Oncologyの現場も見学させていただくことができた。日本では、外科は臓器別に細分化されることが多い一方、米国の腫瘍外科がどのようにがん治療に特化しているか知ることができた。ロボット支援下膵頭十二指腸切除術は、手技だけでなく、1週間もたたず回復し小さな傷で退院する患者さんの姿に感動した。加えて、外来では集学的治療の要としての役割を担っていることを学んだ。ロボット支援下手術の施行とその予後の詳細な解析を通し、Value-based Medicineの実現を見据えていることを伺い、医学に基づく正しい治療の提供にとどまらず、患者さんが受ける医療の形を考えて診療されていることを知った。 2人に1人ががんに罹患し、5人に1人ががんで命を落とす、がんと切り離すことができない現状において、病気だけでなく患者さんの人生全体を俯瞰する広い視野を持つことの重要性を学び、今後の私自身の医師としての指針となった。 |
| ヒューストン生活 | Texas Medical Center周辺は、飲食店やスーパーが多く治安も良かったため過ごしやすかった。アパートはルームメイトが2人いたが、どちらも医学系の方で安心して暮らすことができた。通勤について、MD Anderson Cancer Centerから1-2kmと良い立地にあったため、徒歩で通った。週末は、Space Center訪問、Hermann ParkやRice大学周辺の散歩、先生方とのお食事など、楽しく過ごすことができた。 何より、私の3週間はヒューストンで働かれている日本人の先生方のおかげで、大変快適な時間でした。本当にありがとうございました。 |
| 宿泊先 | Greenbriar Park |
| コメント | 多くの先生方にお世話になり、楽しく実りの多い3週間となりました。本当にありがとうございました。 |
