病院見学の感想・成田 潔 先生
名前 | 成田 潔 |
所属 | 愛知県がんセンター消化器外科部 肝胆膵外科 医員 |
訪問期間 | 2025年2月16日-2025年4月4日 |
ヒューストンを訪問した理由・動機 | 現在、日本の消化器外科を取り巻く環境は決して明るいとは言えません。私は愛知県がんセンターで医員として勤務する中で、自らの技術を磨くと同時に将来の消化器外科の在り方について、自分なりに出来ることを模索したいと考えるようになりました。そんな折、当センターが2023年にMDアンダーソンがんセンター(MDACC)とパートナーシップを締結し、希望者がMDACCで研修できる機会が開かれました。まさに渡りに舟であり、世界最高峰のがん医療を実際に体感することで、自分の成長はもちろんのこと、消化器外科や医療界全体に貢献できるヒントを得られると確信し今回の留学を志望しました。現地では、胃・膵領域における低侵襲手術のリーダーである生駒成彦先生の下で、貴重な研修機会を得ることが出来ました。 |
滞在中に学んだこと | わずか2ヶ月の滞在ではありましたが、日本では決して得られない多くの学びがありました。中でも特に印象的だったのは、MDACCのスタッフが皆、生き生きと楽しそうに働いている姿です。そこには確かな「余裕」が感じられ、それがそのまま患者さんへの接遇にも反映されていました。私はこれまで「身を粉にして患者さんのために尽くすことこそが医療者の美徳」と思っていましたが、「自分自身が楽しく、余裕を持って働けなければ良い医療者にはなれない」という事実に初めて気付かされました。 タスクシェアの進んだ現場にも驚きました。Physician AssistantやNurse practitionerの充実により、日本とは全く異なる医療供給体制が築かれており、それが医師の働き方にも大きく影響しているのだと実感しました。また、若い消化器外科医に女性が多い点も印象的でした。日本とは対照的ですが、このような環境整備が性別に関わらず消化器外科を志すことを可能にしているのだと理解しました。 さらに、時間に対する考え方も日本とは大きく異なります。特に手術においては、時間の延長が患者さんだけでなく、助手、麻酔科医、看護師など多くの関係者の時間を使っているという認識が徹底されていました。日本の医療界でも、働き方改革の一環として時間に対する感度を高めていく必要性を強く感じました。 |
ヒューストン生活の感想 | ヒューストンは非常に住みやすい街でした。食事はやや高めであるものの、おいしい物ばかりで日々の食事は大きな楽しみの一つでし。.休日にはロデオやメジャーリーグサッカー観戦、NASA訪問など、アメリカらしい文化を満喫することが出来ました。 英語力に不安もありましたが、生駒先生や現地の留学生仲間のサポートのおかげで、特に大きな不便なく快適に生活を送ることが出来ました。 |
コメント | 今回の留学にあたり、生駒先生には留学の実現から現地での生活、さらには研究活動に至るまで、多大なご支援を頂きました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。MDACCで学んだことを自分の中だけに留めず、しっかりと言語化し、発信していくことが日本の医療界への貢献につながると信じています。今後も引き続き努力を重ねてまいります。 |