Dr. Eriのウェルネスコラム
5.寝ているのに回復しない睡眠の正体〜「睡眠時間」より大切な回復の質〜
「最近、しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない。」
そんな経験はありませんか?
海外に来てから、以前より疲れが抜けにくくなったと感じている方もいるかもしれません。
以前は一晩寝れば回復していたのに、朝から体が重い。休日にたくさん寝てもすっきりしない。年齢のせいだろうか、と感じることもあるでしょう。
しかし、その疲労感は単なる睡眠不足ではなく、「回復不足」が原因かもしれません。

■ 睡眠時間は足りているのに疲れる理由
睡眠というと、「何時間寝たか」に目が向きがちです。
もちろん睡眠時間は大切ですが、それだけでは十分ではありません。
身体や脳をしっかり回復させるためには、「量」だけでなく「質」が必要です。
実際、成人では1日7時間以上の睡眠が推奨されていますが、健康維持には睡眠の質や規則性も重要であることが分かっています。
十分な睡眠時間を確保していても、
- 朝起きてもすっきりしない
- 日中に眠気を感じる
- 集中力が続かない
- イライラしやすい
といった状態が続くことがあります。
これは「寝ている」のではなく、「回復できていない」状態と言えるでしょう。
■ 回復を妨げる3つの要因
1. 脳が休まっていない
寝る直前までスマートフォンを見たり、仕事のメールを確認したりしていませんか?
身体はベッドに入っていても、脳は情報処理を続けています。
特にSNSやニュースは脳を刺激し、眠りを浅くする原因になります。
電子機器から発せられるブルーライトは、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、入眠を遅らせることが知られています。
「横になったらすぐ眠れるから大丈夫」と思っていても、睡眠の質は低下している可能性があります。
2. ストレスが抜けていない
海外生活では、気づかないうちに多くのストレスを抱えています。
- 言語の壁
- 慣れない医療制度
- 子どもの教育
- 将来への不安
こうしたストレスが続くと、身体は常に緊張状態になります。
ストレスホルモンであるコルチゾールが高い状態では深い睡眠が得られにくく、寝ても疲れが残りやすくなります。
また海外生活では、時差や生活環境の変化によって体内時計(サーカディアンリズム)が乱れやすいことも特徴です。
体内時計の乱れは睡眠の質を低下させ、日中の眠気や疲労感につながることが知られています。
3. 日中の活動量が不足している
意外かもしれませんが、疲れている人ほど運動不足になりがちです。
特にアメリカ生活では、
「家から車へ、車から職場やスーパーへ」
という移動が中心になり、日本にいた頃より歩く機会が大幅に減ることがあります。
身体はそれほど動いていないのに、脳だけが疲れている。
この状態では自然な眠気が生まれにくく、睡眠の質も低下してしまいます。
定期的な運動には、
- 自律神経を整える
- ストレスを軽減する
- 深い睡眠を増やす
といった効果があることが分かっています。
疲れているときほど、無理のない範囲で身体を動かすことが回復への近道になる場合があります。
■ 今日からできる回復習慣
睡眠を改善するために、特別なことをする必要はありません。
まずは次のような小さな習慣から始めてみましょう。
- 朝起きたら日光を浴びる
- 日中に10〜20分程度歩く
- 寝る1時間前はスマートフォンを控える
- 寝室を暗く、少し涼しく保つ
- カフェインやアルコールの摂取時間を見直す
朝の光は体内時計を整え、夜の自然な眠気をつくるうえで重要です。
また、寝室環境や就寝前の過ごし方を整えることも、睡眠の質の改善につながります。
***まとめ***
「ちゃんと寝ているのに疲れが取れない」
そんなときは、睡眠時間を増やすことよりも、「回復できる睡眠」をつくることが大切です。
睡眠は単なる休息ではありません。
身体や脳を修復し、明日の自分をつくるための大切な時間です。
私自身も、日本とアメリカを行き来する生活や引っ越しの後、「たくさん寝ているのに疲れが取れない」と感じることがあります。そんな時ほど、睡眠時間を増やそうとするのではなく、朝日を浴びる、軽く身体を動かす、生活リズムを整えるといった基本に戻ることで、少しずつ回復していく感覚があります。
もし最近、「寝ているのに疲れる」と感じているなら、まずは今夜、いつもより30分早くスマートフォンを置いてみてください。
そして明日の朝、5分だけ外に出て朝日を浴びてみましょう。
そんな小さな習慣が、睡眠を「休む時間」から「回復する時間」へ変えてくれるかもしれません。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。強い日中の眠気や慢性的な不眠、いびきや睡眠時無呼吸が疑われる場合は、医療機関への相談をおすすめします。
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