―自己紹介―

梅渓智通(うめたに・ともみち)と申します。ダラスで生まれ、ヒューストンで育ちました。現在はUniversity of Texas at Austin(UT Austin)で機械工学を専攻しており、2029年に卒業予定です。将来は、機械工学の知識を生かしてクリーンエネルギーに関わる仕事をしたいと考えています。趣味は写真撮影、パズルゲーム、アニメです。

私は米国の現地校に通う一方、幼稚部年長から高校3年生まで、ダラスおよびヒューストンの日本語補習校にも通いました。ここでは、米国の高校生活、大学進学に向けた準備、補習校での経験、そして実際に大学へ進学して感じたことを、自分自身の経験をもとに紹介します。米国の学校制度や大学入試は、州、学校、年度によっても異なりますので、一つの体験談として読んでいただければと思います。

―米国の公立高校での生活―

私が通ったのは、Fort Bend Independent School DistrictにあるRidge Point High Schoolです。全校生徒は約2,500人で、一クラスはおよそ20~30人でした。さまざまな人種や文化的背景を持つ生徒が集まっており、多様性に富んだ環境でした。

米国の高校では、生徒が自分で授業を選択し、卒業に必要な単位をそろえていきます。ただし、どの授業でも自由に選べるわけではなく、科目によっては事前に履修しておかなければならないクラスや、一定の成績などの履修条件があります。そのため、卒業に必要な単位だけでなく、自分が将来進みたい分野や、大学出願への影響も考えながら授業を組み立てる必要があります。

高校生活でよく耳にするのがGPA(Grade Point Average)です。GPAは各科目の成績を数値化したもので、大学出願における重要な要素の一つです。私はクラスランクを上げること、そして大学の単位として認めてもらえる可能性があることから、AP(Advanced Placement)の授業を履修しました。APは大学レベルの内容を高校で学ぶ授業で、通常のクラスより負担が大きい一方、意欲のある生徒にとっては挑戦する価値があります。

ただし、AP試験に合格すれば、どの大学でも同じように単位が認められるわけではありません。大学や学部によって、認定される科目や必要なスコアが異なります。私は高校生のときに、どのAP科目が志望大学の単位へ移行できるのかを、もっと詳しく調べておけばよかったと思っています。単に難しい授業を数多く取るのではなく、自分の進路や負担とのバランスを考えて選択することが大切です。

私の高校には日本語の授業はありませんでしたが、CBE(Credit by Exam)を利用して日本語の単位を取得できました。CBEは、試験によってその科目の知識や能力を証明し、履修単位として認定してもらう制度です。家庭で日本語を使っている生徒や補習校に通っている生徒にとっては、確認しておく価値のある選択肢だと思います。

―課外活動で学んだこと―

米国の高校生活では、授業やGPAだけでなく、Extracurriculars、つまり課外活動も重要です。私は吹奏楽部(バンド)、Science National Honor Society(SNHS)やNational Honor Society(NHS)、Science Olympiadなどに参加しました。Science Olympiadは、科学や工学に関する知識と技術を競うコンペティションです。また、小学生のころから高校の途中まではボーイスカウトを続けました。

ボランティアでは、フードバンクやサマーキャンプの手伝い、日本語補習校での活動などを経験しました。このほか、アルバイトや家庭教師も行いました。こうした活動を通して、授業だけでは出会えない人たちと知り合い、自分の関心や得意なことを広げることができたと思います。特にバンドを長く続けたことで、いろいろなグループに友人ができたことは、高校生活を振り返って「やっていてよかった」と強く感じることの一つです。

大学出願では、GPAが非常に高ければ必ず希望の大学に入れる、というわけではありません。成績はもちろん重要ですが、課外活動をどのくらい長く続けたか、その中でどのような役割を担ったか、リーダーシップを示したか、どのような成果を挙げたかなども評価されます。

課外活動というと、部活動、委員会、コンテストなどの正式な活動だけを想像しがちですが、自分が継続している趣味や、家族や周囲の人のために行っていることも、願書に書ける場合があります。例えば、写真が趣味で友人のパーティーで撮影をしてあげたことや、料理が好きで家族のために毎日健康的な食事を作っていることも、自分の関心や貢献を示す経験になります。特別に目立つ活動を無理に始めるよりも、自分が本当に好きなことを長く続け、その経験から何を学んだのかを説明できることが大切だと思います。

課外活動の範囲が広がると、移動のために車が必要になる場合もあります。ヒューストン周辺は公共交通機関だけでの移動が難しい場所も多いため、活動場所や時間、家族による送迎の可否なども含めて、現実的に計画する必要があります。

―日本語補習校で得たもの―

私は幼稚部年長から高等部3年生まで、日本語補習校に通いました。大学出願の際には、補習校での学習も自分のEducationの一部として記載しました。放課後にはソフトボール部にも参加しました。

現地校と補習校を両立することは、時間の面でも学習の面でも簡単ではありません。それでも、卒業後の今になって振り返ると、補習校に長く通ってよかったと感じています。日本語で学び、日本語で友人と話す機会が増えただけでなく、卒業後もつながっている友人ができました。補習校で出会った友人たちは、現在、米国にも日本にもいます。住む国や進む道が変わっても関係が続いていることは、私にとって大きな財産です。

―専攻と大学をどう選んだか―

私はもともとクリーンエネルギーに関心があり、高校で受けたAP Physicsの授業を興味深いと感じたことから、将来はエンジニアリングの分野へ進みたいと考えるようになりました。Junior、つまり高校3年生ごろから、希望する大学や専攻について具体的に考え始めました。

大学を選ぶ際には、学校の知名度だけでなく、自分が学びたい専攻を中心に考えました。候補となったのは、機械工学と原子力・放射線工学です。最終的には、学費と専攻を含む複数の条件を総合してUT Austinを選びました。私は将来米国で働きたいと考えていたため、日本の大学への進学は選択しませんでした。

私は大学見学をしませんでしたが、キャンパスを訪問してから進学先を決める人は多くいます。実際に見学すれば、授業環境、学生の雰囲気、寮、街の様子など、ウェブサイトだけでは分からないことを確認できます。費用や距離の問題もありますが、可能であれば見学は大学選びの参考になると思います。

―SATと出願準備―

大学出願に向けて、私はSATを受験しました。準備にはBluebookのPractice Testsを利用し、本番形式の問題に取り組みました。ACTは受けませんでしたが、人によってはSATよりACTの方が得点しやすいと言います。問題形式との相性があるため、早い段階で両方の練習問題を試し、自分に合う試験を考えるのもよいと思います。

大学出願で特に早く準備した方がよいと感じたのは、小論文です。私はJuniorからSeniorへ上がる夏休みに始めるべきだったと振り返っています。大学によってテーマは異なりますが、「困難をどのように乗り越えたか」「自分にとって成果とは何か」など、本人の考え方や成長を問うテーマには共通点があります。一つの大学でも複数の小論文が必要な場合があり、大学ごとに内容を調整しなければなりません。締め切り直前に一度で完成させようとせず、早めに書き始めて、何度も読み直す時間を確保することをおすすめします。

出願する大学数は人によって大きく異なり、一校だけに出願する人もいれば、15校ほどに出願する人もいます。数が増えれば選択肢は広がりますが、それぞれの出願書類、小論文、締め切り、費用を管理する負担も増えます。自分の希望、合格可能性、学費などを考え、無理のない出願計画を立てることが重要です。

奨学金については、私自身、もっと積極的に準備しておけばよかったと思っています。Seniorになると、FAFSAを含め、さまざまな申請が始まります。奨学金にはそれぞれ条件と期限があり、大学への出願とは別の書類が必要な場合もあります。本人だけでなく家族も早めに情報を集め、必要な情報や書類を整理しておくとよいと思います。

―UT Austinでの大学生活―

現在、私はUT Austinで機械工学を学んでいます。大学生は寮やアパートで生活することが多く、私はほかの3人とルームシェアをしています。大学生活には授業料だけでなく、住居費、Meal Plan、教科書代など、さまざまな費用がかかります。特にオースティンは生活費が高いため、進学先を考える際には、学費だけでなく生活全体にかかる費用も確認する必要があります。

高校と大学の大きな違いの一つは、試験が最終成績に与える影響です。大学では、少ない回数の試験が成績の大きな割合を占める授業もあります。また、先生や周囲の人がすべてを指示してくれるわけではありません。勉強、生活、課外活動、将来の準備のどれについても、自分から動かなければ何も始まりません。大学に入って、「まさに大人なのだ」と実感しました。

私は核に関する研究にも興味があり、自分から大学の教授に連絡を取り、最近研究を始めました。興味のある分野があっても、待っているだけでは機会が来ないことがあります。自分で調べ、先生にアプローチし、まず行動してみることが、新しい経験につながると感じています。

―高校生活を振り返って―

高校時代にやっていてよかったことは、バンドを長く続けたことと、異なるグループに友人ができたことです。一方で、やっておけばよかったこともあります。AP科目が大学でどのように単位として認められるのかを事前に調べること、奨学金の申請にもっと積極的に取り組むこと、そして友人ともっと多くの時間を過ごすことです。

大学進学の準備をしていると、GPA、クラスランク、SAT、AP、課外活動、小論文など、気にしなければならないことが数多くあります。周囲の成績や活動が気になり、不安になることもあると思います。しかし、他人と比べることだけに時間を使うより、自分がやりたいことを見つけて続ける方が、充実した高校生活にも、自分らしい大学出願にもつながると思います。

―後輩の皆さんへ―

一番伝えたいのは、学校生活を楽しんでほしいということです。大学進学のための準備はもちろん大切ですが、高校生活そのものも一度しかありません。他人を気にしすぎず、自分が本当にやりたいことに取り組んでください。そして、友人とのつながりを大切にし、一緒に過ごせる時間を大事にしてください。

興味のある授業を受け、好きな活動を続け、必要な準備は少し早めに始める。すべてを完璧にする必要はありません。自分から一歩ずつ行動していけば、その経験は大学出願のためだけでなく、その後の人生にもつながっていくと思います。

梅渓 智通