10. 病院に入院したら
1. 総論
異国で入院する事は文化やシステムが違うので非常に不安かと思います。米国では一般的に通常病棟、ステップダウン/IMU (Intermediate Unite)、ICU (Intensive Care Unit) というように必要な治療のレベルの差により分かれています。 ICUレベルのケアには、さらに専門家により名称が変わることがあります。例えば循環器内科であればCCU (Cardiac ICU)、外科のICUであればSICU (Surgical IUC) などのように細かく分かれてる病院もあります。
病院に入院する方法としては、緊急の場合や手術や化学療法など予め入院することが分かっている待機入院・予定入院 (Direct Admission, Elective Admission) に分かれます。
緊急入院はER(救急室)よりの入院が主となります。病棟のベッドが開くまで長い時間救急室にて待たされることが多いので、入院する可能性がある場合は、準備をしていくことをお勧めいたします。また、保険のところで触れましたが、入院治療が必要となることが予測される場合、病院の入院治療も保険のIn NetworkであることをERに罹る前に確認することをお勧めします。
また、待機入院・予定入院の場合は、病棟に直接入院します。その場合、病院によっても手続きが変わりますが、予め予定入院予定時間を指定されている場合と、ベットが準備できたら病院から電話がかかってきてから入院になる場合があります。 多く場合が病院のAdmission officeに立ち寄ってから、必要な情報を入力してから病院への入院となります。
入院後は、外科の先生が主治医になることもあれば、内科のホスピタリスト(Hospitalist)と呼ばれる入院専門の内科医師が主治医になることもあります。病院内では、シフト制が組まれていますので、日中に担当している医師と夜に担当している医師が変わります。
また、入院中は、必要な治療に応じて各専門家がコンサルテーションとしてくることがあり、日本と比べるとより多くの医師に診察されることがあります。
2. 各論
入院時の準備リスト
病院に持って行くベストアイテム
- 身分証明書
- 医療保険のカード
- 普段飲んでいる薬のボトルか処方箋(服用している薬の名前と服用頻度を尋ねられます)。
- 家で使っているブランケットや枕(慣れない環境へ移った時に、普段利用しているものが近くにあると、よりリラックスして過ごすための手助けになります)。
- 日記、本、ボールペン(入院期間が長いと自由な時間が多くなります。お気に入りの本や雑誌を何冊か用意しておくと、気分転換になります)。
- 家族や友人の写真
- 洗顔用品(ヘアブラシ、リップクリーム、シャンプー・リンス、コンタクトレンズと洗浄液)
- 眼鏡
- 携帯・ラップトップの充電器、イヤホン
- 耳栓(バイタルモニターのアラームや保家の患者の声が気になる時にあると便利です)。
- アイマスク(夜中でも医療従事者は病室に入ってきて容赦なく電気をつけます)。
必要に応じて持っていきたいもの
- 生理用品
- 髭剃り
- スリッパ/室内履き
- 医療に関する委任状(Durable power of attorney)やリビングウィル(Living will)などの事前の医療指示書(Advanced directive)のコピー。(入院時に「アドバンスド ディレクティブはありますか?」と尋ねられます。無い場合が多いですが、今後の万が一の時のためにその書類を準備しておいても良いかもしれません)。
持参しなくても病院でもらえるもの
- 替えの服(病院のガウンは点滴をしたままでも脱ぎ着が簡単にできるので、Tシャツよりもおすすめです)。
- ボックスティッシュ
- タオル
- バスタオル
- 石鹸
- シャンプー・リンス
- 歯ブラシ
入院中に気をつけること
治療方針の説明を受ける時や同意書(コンセント フォーム)にサインする際は、”I need an interpreter”と積極的に通訳サービスをリクエストしましょう。
医療従事者は、英語が第一言語ではない患者に対し説明する際には医療用語に精通しているプロの通訳者を介することが義務付けられています。ですが実際病室でよく見られるのは、患者の家族や友人が通訳の手伝いをすることが多くあります。それは正式な手順ではないので、その場合は、通訳利用する権利を主張することで後々問題が起きるのを防ぐことができます。
入院中の単語
入院 Admission(アドミッション)
退院 Discharge(ディスチャージ)
血圧 Blood pressure
心拍 Heart rate
同意書 Consent Form(コンセントフォーム)
CT スキャン CT/Cat scan(キャットスキャン)
レントゲン X-Ray(エックスレイ)
カルテ Medical Records (メディカル・レコード)
通訳 Interpreter, Language line
退院時に気をつけること
退院するときに病院の中でどのようなことが行われたかなどの退院時サマリーや退院後のフォローアップの指導などがあります。退院後に外来でへ診てもらえる医師がとは限らず、なおかつ保険によってカバーされるかどうかもわからないので、退院後の指導に関して退院する前に明らかにしておいた方がいいです。
また、フォローアップの外来によっては、入院時のカルテにアクセスがないことがあり、その場合入院時の病院のカルテのコピーやレントゲンなどの画像検査のコピーなどが必要になることが多いので、退院時にあらかじめそういった資料を取り寄せておくと良いかもしれません。
基本的には、メディカルレコードと呼ばれる部署が、そういったカルテのコピーなどを担当してるのですが、2週間ほど手続きにかかることなどもあり、とても手間がかかるので、もしそういったカルテのコピーが必要な場合には、入院時に手続きを済ませておくことをおすすめします。
退院時処方に関して、病院のPharmacyから処方がされることもあれば、処方箋を貰うこともあります。特に週末などに退院する時には、処方が薬局より受けれることを確認して退院することをお勧めします。
<最終更新日:8/2022 高田・兒子真之>