Dr. Eriのウェルネスコラム
6.ちゃんと食べているのに調子が悪い理由~海外生活で見落としがちな“栄養の落とし穴”~
「毎日きちんと食事をしているのに疲れが取れない。」
「野菜も食べているし、自炊もしているのに、なんとなく調子が悪い。」
海外生活の中で、このような感覚を抱いたことはありませんか。
病気というほどではないけれど、朝すっきり起きられない。集中力が続かない。以前より疲れやすくなった気がする。
その背景には、「食べている量」ではなく、「身体が必要としている栄養が十分に満たされているか」という視点が隠れているかもしれません。

世界保健機関(WHO)は、成人の健康維持のために1日400g以上の野菜・果物の摂取を推奨しています。しかし、野菜を食べているつもりでも、サラダ中心で食物繊維が不足していたり、炭水化物に偏りがちな食事になっていたりすることは少なくありません。
海外生活では、日本にいた頃と比べて食環境が大きく変わります。
忙しい朝はシリアルやトーストだけで済ませる。外食が増え、量は多くても栄養バランスは偏る。和食を食べる機会が減り、豆類や発酵食品を摂る頻度が下がる。
すると、エネルギーは足りていても、身体が本当に必要としている栄養素が不足してしまうことがあります。
特に見落とされやすいのが、「たんぱく質」と「食物繊維」です。
たんぱく質は筋肉だけでなく、免疫機能やホルモン、酵素など、身体のさまざまな働きを支えています。一般成人の推奨量は体重1kgあたり0.8g/日とされていますが、近年は健康維持や筋肉量の保持の観点から、運動習慣のある方や中高年では1.2~1.5g/kg/日程度を目標とする考え方も広がっています。
体重50kgの方であれば、1日に60~75g程度が一つの目安になります。
しかし実際には、
「朝はコーヒーだけ」
「昼はサンドイッチ」
「夜はサラダ中心」
という生活では、必要量を満たせていないケースも少なくありません。
また、食物繊維不足も現代人に共通する課題です。
米国の食事指針では、成人女性で約25g、男性で約38gの食物繊維摂取が推奨されています。しかし、多くの人は推奨量に達していないと報告されています。
食物繊維は腸内環境を整えるだけではありません。血糖値の急激な上昇を抑え、満腹感を維持し、炎症反応の調節にも関わっています。
海外生活では、生活リズムや環境の変化によるストレスも加わります。
そのため、「ちゃんと食べているのに疲れる」と感じるときは、食事量ではなく食事内容を見直すことが大切です。
今日からできることは、とてもシンプルです。
まずは毎食たんぱく質を意識することです。
卵、ヨーグルト、鶏肉、魚、豆腐などを一品加えるだけでも違います。
次に、色の濃い野菜だけでなく、豆類やきのこ類、発酵食品を意識的に取り入れること。
そして何より、「完璧な食事」を目指さないことです。
毎日100点を続ける必要はありません。
昨日より少しだけ栄養を意識する。
その小さな積み重ねが、数か月後の体調やエネルギーの違いにつながっていきます。
「ちゃんと食べる」とは、たくさん食べることではありません。
自分の身体が本当に必要としている栄養を満たしてあげることです。
海外生活では、忙しさや環境の変化の中で、自分の不調を後回しにしてしまうことも少なくありません。しかし、だからこそ日々の食事は、最も身近で、自分自身を支えてくれるセルフケアの一つです。
海外生活では、自分の健康の主治医は自分自身。
疲れやすい、集中できない、なんとなく調子が悪い――そんな身体からの小さなサインを見逃さず、毎日の食事を見直すことが、未来の自分を守る第一歩になるのではないでしょうか。
***Dr.Eriの公式ホームページはこちら***

